障害者本人以外への適用
障害者であるため通常の人より余分に生活費等を必要とするという特殊事情を考慮して、税額控除の規定が設けられている。
特別障害者であれば、20万円×(85歳ー相続開始時の年齢)で算出され、50歳であれば700万円の税額控除と、その効果は大きい。
障害者本人が、法定相続人であること、障害者手帳の交付や市町村長から障害状態を証する書類の交付等があれば、適用可能である。
控除額が大きいため、障害者本人の相続税から控除しきれないケースも多い。
この場合、扶養義務者の相続税から控除することも可能だ。
扶養義務者とは具体的に、配偶者、直系血族、兄弟姉妹、同一生計の3親等内の親族など、その範囲は広い。
なお、現実に扶養している必要もなく、形式的に条件を満たしていれば、障害者本人以外で適用できることとなる。
障害者控除が適用できなくなるケース
障害者本人以外で税額控除できるとはいっても、障害者本人が相続や遺贈で財産をまったく取得しない場合は、適用がない。
遺贈による取得がなければ、遺産分割協議において、1円でもいいから財産を取得することが求められる。
また、過去の相続や遺贈により、障害者控除の適用を受けている場合で、控除枠を使いきっていれば適用がない。
控除枠が残っていても、過去の相続時から、障害状態が回復あるいは悪化しているときは、少々算定が複雑になることもある。
さらに、検討ケースとしては少ないが、障害者本人の住所が日本国内にあることにも注意が必要となる。